私たちはテクノロジーが今後どのように建築照明を変貌させていくかということに強く興味を持っています。デジタル技術の普及によって照明のデザインが出来ることが多様になってきています。例えばデジタルアートの分野においては作品が鑑賞者の動きや声によってインタラクティブに変化するという作品は珍しくありません。しかしながら常設空間である建築のデザインにインタラクティブな要素を組み込んだ例はまだ多くはありません。私たちはアートとしてではなくて、空間の要素の一つとして自然にインタラクティブをデザインすることが出来ないかと模索しています。建築の形をインタラクティブにぐにゃぐにゃ変えるのは難しいですが、光は簡単に変化させることが出来ます。空間を横切る人によって空間の様相が変化する、それもさりげなく自然に気持ちよく。そういうデザインをしたいと思っています。このページでは私たちの作品の中でインタラクティブな光を主役にしたものを紹介しています。

The Play of Brilliants

2016 シンガポール

‘Play of Brilliants’という言葉は建築照明デザインの祖であるリチャード・ケリーの言葉です。彼は「Focal Glow」「Ambient Luminescence」そして「Play of Brilliants」の3つの光の要素を組み合わせることで快適で魅力的な照明環境を作ることができると論じました。これを分かりやすく言うとすると、スポットライトのようなアクセントライト、間接照明のようなアンビエント照明、それにシャンデリアなどのきらめきのある光を組み合わせるということです。このような異なる特性を持った光を光のレイヤーとして重ね合わせていくという考え方は半世紀以上たった今でも建築照明の手法として有効なものであり、普遍的な考え方であると言えます。

そして私たちがこのインスタレーションであえてこのリチャード・ケリーの言葉を引用した理由は、「これからの照明デザインでは実は彼の提唱した3つの要素に加えて4つ目の要素も考えるべきである」と考えたからです。それは「変化する光」であり、光がどのように時間軸にそって、あるいは空間を利用する人の動きによって多様に変化していくかということです。

 

シンガポールデザインウィークで展示を行ったこの作品は、天井から下げられた108個のクリスタルのそれぞれにパラボリック反射鏡を使った超狭角のスポットライトを照射することで空間内に光を拡散させています。そして108灯のスポットライトは個別に制御され、カメラによってセンシングされた人の動きに追従して光が空間内を気持ちよく動きまわります。

 

これまでデジタルを駆使したライトアートというのはLEDをむき出しにしたものやカラフルなものなど、どちらかというと派手(すぎる)ものやこれ見よがしにLEDを使っていますというのを前面に押し出したようなものが多かったと思います。私たちがこのインスタレーションで試みたのは、あくまでも自然な光を作ることでした。光源はまったく見せずに、光が空間の中を自然に漂い、人が介在することで空間が賑やかになる。光はあくまでも媒体としてクリスタルという素材をつかって空間というキャンバスに美しい現象を起こすことを目指しました。

協賛:

Preciosa

Tokistar

Korr Lighting

Krislite

Technolite Singapore

Lightcraft

Creative Lighting Asia (Singapore, Malaysia & Indonesia)

 

協力:

Annolab

 

動画用サウンド:

Yasuhiro Nakai

Layers of Light

2015 シンガポール

この作品は石州和紙を使用した光のインスタレーションです。2015年のシンガポールデザインウィークのために準備をし、デザインウィークのメイン会場であるデザインセンターの入り口に設置されました。カメラで空間内を通過する人を追跡して光を動かすことで、和紙がつくる美しい光と影のグラデーションが空間を通りぬけます。光源はLEDのバーを使用し天井内部に光源を隠して和紙を照らすことで和紙自体が光っているような効果を生み出しています。

Rail Corridor

2015 シンガポール

Grant Associates, MVRDV, Architects 61

 

レイルコリドーはシンガポール-マレーシア間をつなぐ24kmの電車の線路跡を公共空間に変えるというプロジェクトです。私たちはこの国際コンペにオランダの建築事務所MVRDVとイギリスのランドスケープデザイン事務所Grant Associatesと共に参加しました。線路沿いに手付かずの自然が残っており、光のデザインコンセプトは動植物への人工光の影響を最小限にするための24kmに及ぶ‘動く光のインフラ’を整えるというものでした。人には光を、自然には暗闇を。光がサイクリストの動きに合わせて点灯され、人工光が消えた状態では蓄光素材によって線路の跡が青白く暗闇に浮かび上がり過去の記憶を今に伝えます。

24km Dynamic Lighting Infrastructure

Darkness for Animal

Light for Human

NIPEK PTE LTD

111 Middle Road #03-13, National Design Centre, Singapore 188969

E: info@nipek.jp  T: +65 6635 6213